[ Train ] 2000系

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2000系500番台

■ 概要
 
 製造初年2006年。
 快適輸送の推進,サービスの多様化の一環として座席指定制の特別車両の運転に対応する車両として新製されたのが2000系である。

 
 本系列は座席数を増加させる為,ドア数を1両あたり片側2箇所としたほか,中間車はダブルデッカーとし,10両編成で776席を確保している。これらの座席は転換クロスシートを主体とし,居住性の向上を図っている。

 
 朝夕のラッシュ時は座席指定制の特別列車として運転されるが,その他の時間帯は一般優等列車に充当されるのが特徴であり,また,必要十分な快適性を維持しつつ,座席数を増加させることに主眼をおいた設計としている。
 また,高密度ダイヤの中での運転となり,ラッシュ時以外は一般列車として運転されることもあり,乗降性には十分留意し設計されている。

 なお,現在は製作されていないが,全車平屋構造の基本番台も後に登場する予定である。

 基本的には自社線内での運転を予定しているが,将来,都営線への直通運転実施も考慮し車両限界を通常車両と同様にした。しかし,ダブルデッカー車は車体を大きくせざるをえないことから宮ヶ瀬線の車両限界を用いることとし,その為,系列内に異なる車両限界を持つこととなった。なお,中原本線と宮ヶ瀬線は車両限界が異なっており,ダブルデッカー車は中原本線には入線できない。
 
 技術的には現在製造中の9000系との共通化が図れており,随所にその影響が垣間見れる。


■ 基本組成

 
 当面は宮ヶ瀬線での運用を予定していることから,10両編成を基本としたが,途中の高坂で分割併合を予定していることから,5両編成を基本組成とし,通常はこれを2本連結し10両編成で運転することとした。

 
 500番台は5両のうち両先頭車は平屋構造のM1車であり,主要機器を集中搭載している。一方の中間車はダブルデッカーとし,機器の搭載は最小限としている。

 
 なお,全車平屋構造の基本番台は500番台とは異なる儀装を予定している。
 

 
■ 接客設備・内装
 

 座席はシートピッチ850mmの転換クロスシートを基本としており,車端部のみ固定式クロスシート(シートピッチ1765mm〜1800mm)である。座席数は先頭車で50席(運転室後部4席,ドア間10列38席,車端部8席),中間車で96席(上層・下層各10列40席,車端部各8席),10両編成で776席となっている。なお,転換座席は乗務員による一括操作でのみ転換が可能であり,利用者が操作することはできない。
 
 また,運転室直後を除く平屋構造車両のデッキ部には補助座席を設置しており,ロック解除時に使用することができる。この他,バリアフリー設備として,運転室後部に多目的スペース(車椅子スペース)が設置されている。

 車内は乗降性への配慮が随所に施されており,このうち通路幅については全幅の都合上,拡大が困難であるが,そのかわり,デッキが広くとられており,乗降の際に通路が混雑していてもデッキに収容できるようにしている。またダブルデッカー車では階段の勾配・幅も極力余裕を持たせている。

 
 乗降用の側扉は片側2箇所であり,平屋構造車両は扉幅1600mm,ダブルデッカー車両は2000mmとしている。なお,ダブルデッカー車の側扉は構造の都合から外プラグ式を採用した。また全ての側扉には扉幅が広いことから,長時間停車時の空調効率を考慮し,半自動回路を組み込んでいる。これは乗務員が半自動スイッチを「入」にした時のみ半自動回路が動作し,利用者は扉にあるスイッチを押すことで側扉を開くことが出来る。開いた扉はセンサーで乗降が認めれなくなってから数秒後(当面は10秒後を予定)に自動的に閉まるようになっている。
 
 側窓は全て固定式であり開閉することはできない。戸袋窓は基本として設置されていないが,運転室後部のみは採光の都合上,戸袋窓を設けている。この他,一般車両扱いであることもあり,トイレは設置されていない。
 

 
■ 機器類・走行性能

 
 主要機器類は極力9000系と統一するよう配慮されており,製造・保守コストの削減を目指している。
 但しMT比が3:2であり,9000系に比べるとM比が高いが,これは車重が重いことと乗降時分の増加分を加速性能の向上で吸収するこを企図している為であるが,9000系と装置の共通化を図った為でもある。

 
 走行性能は乗降時間の増大を補うため,9000系同等以上としており,起動加速度3.0km/s,最高速度120km/hである。加速性能は全系列の中で最も良い。
 

 
■ 車体・外装

 
 車体は9000系同様,ダブルスキン構体のアルミ合金車体を採用しているが,2000系では白色に塗装されている。


 前面は長らく慣れ親しんだ三面折妻から変更されており,変形の左右対称である。

 
 前面・側面の種別・行先案内装置にフルカラー式LEDが採用されている。
 

 
■ 運用

 
 2006年から試運転に供していたが,2008年10月1日のダイヤ改正から座席定員制の宮ヶ瀬ライナーに充当され,朝ラッシュ時の上りに4本,夕ラッシュ時の下りに10本運転される。

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