[ Train ] 5000系

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5000系前期型

■ 概 要
 製造初年1970年。
 1974年に中原本線は都営三田線と相互乗入れを行う予定であり,東京都との協定により直通車両は20m級の大型車を用いることとなっていたが,当時の中原急行の車両は18m級の中型車であった。

 また,当時,多摩丘陵にて大規模な住宅開発が行われており,輸送量が増加しており,輸送力を増強する必要があった。
 これらに対処する車両として開発されたのが5000系であり,中原急行初となる20m級大型車である。
 1970年から1986年にかけて合計378両が製造されたが,鋼製車である前期型(1970〜1976年)は廃車が進んでおり,2007年に全廃となった。一方,アルミ車である後期型(1981〜1986年)は半数で大規模修繕工事が実施されており,当面,第一線にて活躍される見込みである。
 2008年8月1日現在,150両が在籍している。

■ 走行性能
 起動加速度は三田線内3.3km/h,自社線内は2.5km/h,最高速度は110km/hである。以降,これが中原急行の標準性能となり,9000系で見直されるまで系列が変わっても同一の性能となった。急行から各停まで,また三田線内での走行をも含む走行性能を満たすようにしている。

■ 主要機器類
 三田線内における高加減速性能と中原本線における高速運転の両立させるため,当時最大級の150kwの大出力モーターを用い,M比を高くとることと限流値の切替で対処した。直通運用車は8両編成時6M2T,地上線専用車は4M4Tで製造されることになった。なお,直通運用車は品川でキーを変更することで自動的に限流値が切替るようになっている。
 ただ,結果として,直通運用車が圧倒的に不足していたことから,増結用編成を除き,全車直通運用車として製造された。

 制動装置は発電併用の電磁直通空気制動であるが,制動指令が応答性の良い電気指令化された。これにより既存車両と併結することができなくなったが,もともと独立した地下鉄直通運用に投入することをメインに想定されており,他系列との併結を想定していない為,実際上もほとんど問題はなかった。

 
 この他,電制に回生制動を用いることも検討されたが,三田線直通規格が発電制動であったこと,神保原以西の連続25‰区間で回生失効時の制動力確保に対する懸念などから,本系列では発電制動が採用された。
 
 台車は3000系同様のアルストムリンク式の車体直結台車である。

■ 車 体
 車体長は三田線直通に対応し20m級の大型車となった。
 鋼体は従来どおり普通鋼製である。アルミ合金,ステンレスといった新素材が他社で導入されており,また乗入先となる三田線でも都営6000系がステンレス車体が採用されていたが,製造コストが高く,保守費の削減でも吸収できない見通しであったため,普通鋼製が採用された。

 ところで,1975年の6次車では1編成(5021F)のみアルミ合金製の車体が製造され,実用実験に供された。これは後に1977年から製造が始まった7000系や本系列の後期型で正式採用された。


■ 接客設備
 側扉は従来どおり扉幅1300mmの両開き式であるが,扉数は車体長延伸に伴い片側4扉となった。腰掛は扉間が7人掛,車端部は4人掛であり,座席幅は430mmである。
 側窓には眺望性の良い一段下降窓が導入された。ただ,浸水による劣化対策に苦労することになり,この経験が後のアルミ車体の導入に間接的に繋がるようになる。
 この他,3000系最終増備車で導入された冷房装置も,三田線内での取扱いは未定のままであったが,サービスレベル向上のため搭載された。

■ 導入後の経緯
 当初,8両固定編成(6M2T)で製造され,中原本線の急行運用で大輸送力の威力を発揮した。その後,1982年に各停が大型車化されたことから,急行から各停まで幅広く用いられた。また,ラッシュ時の増結用として2両編成(1M1T)も製造された。

 投入先は中原本線に限定されていたが,これは三田線直通化時に相当数の直通対応車両が必要であったこと,1977年まで宮ヶ瀬線に大型車が投入できなかったこと,ゆえに宮ヶ瀬線の輸送力増強用に中原本線の中型車を転用せざるをえず,その穴を埋めるためにも中原本線に投入する必要があったことによる。

 1976年になると後継の7000系が増備されたが,三田線との直通規格の都合もあり,本系列も並行して増備された。また,1981年から増備された7次車からは7000系同様のアルミ幅広車体が用いられた。

 以後,一貫として中原本線で運用されていたが,2001年から後期型の8両編成が界磁添加励磁制御に改造のうえ,宮ヶ瀬線に転用され,地上線限定運用として用いられた。さらに2003年からは大規模修繕工事が行われ,内装がリニューアルされたほか,走行機器類も再度改造され,9000系に準じたVVVF制御化された。
 また,中原本線に残った後期型各車も2002年から上記と同様の大規模修繕工事が行われた。
 これら大規模修繕施工済の車両は製造から40年間の使用を前提に修繕されており,今後も活躍が続く予定である。

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